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vol.2


知床ツブ貝・タコ漁師

種田礼士
斜里町ウトロ漁港

ツブ貝の出荷量日本一を誇る北海道。
なかでも知床は、多種多様なツブ貝が
水揚げされています。
オホーツクの冷たい海で育まれたツブ貝は、
身が締まり歯ごたえ抜群。
噛むごとに磯の香りと旨みが
口の中でふわりと広がります。

Vol.2はウトロ漁港で
ツブ貝・タコ漁を営む種田礼士による
“俺の町から”

海の状態が良ければ毎日漁へ。
休むことなく働き続ける漁師の1日


気温が高いと陸にあげるまでに鮮度が落ちてしまうため、夜明け前から漁をはじめます。僕の船は午前3時に出港し、9時頃まで漁をします。港に戻ってからは、市場に出荷したり、翌日の漁の準備をしたり……。すべての作業が終わるのはお昼くらいですね。午後からは海産物の加工作業をしています。
海の状態が良ければ毎日漁に出ます。体力的には辛いですが、自分が好きなことをしているので楽しいです。

▲夜明け前から準備し、海水が冷たいうちに出港。海水の温度がツブの品質に大きく関わってきます。

ツブ漁は1日500〜800キロ、
タコ漁は1トン半の重労働。


ツブ漁は流氷明けの4月から10月末まで行います。前日にカゴをつけたロープを海底に沈めておき、翌日引き揚げます。僕の船は75個のカゴがついていて、1日の漁獲高は500〜800キロ程度。今の時期は水深300〜500メートルに生息している深海のツブをメインに獲っています。
6月〜10月末は並行してタコ漁も行います。ツブと同じように、ロープにタコ箱をつけて海底に沈めて獲ります。穴を住処にするタコの習性を活かした方法で、餌は必要ありません。タコ箱は仕掛けてから、最低でも3日おかなくてはならないので、その間はツブ漁をします。時期にもよりますが、1回の漁で水揚げするタコの量は1トン半ほど。それ以上獲っても生きた状態で港に運ぶのは難しいため、箱に入っていてもそのまま海へ戻します。

▲重い網を船上へ引き上げ、中身を獲って再び海へ設置します。寒い日でも汗をかく重労働です。

鮮度にとことんこだわった
種田さんのツブとタコ

僕のこだわりは、自分で獲って、新鮮なうちに自分で加工することです。いつ、どこで、誰が獲ってきた分からないものは絶対に卸しません。 僕のツブやタコは獲ってきたその日に加工するので鮮度抜群です。知床が全国に誇るツブとタコをぜひご賞味ください。

▲知床で獲れるツブに自信があるからこそ、選別作業もひとつひとつ丁寧に行います。

毛ガニのおいしい食べ方

―― 簡単調理で絶品メシ!

塩茹でしたツブをマヨネーズと一味にちょっとつけて食べるのが漁師の定番の食べ方です。獲れたて、茹でたては格別ですよ。僕が最近気に入っているのはツブのフライ。身を開いて、塩胡椒で下味をつけてフライにするだけですが、とてもおいしいんです。
ツブは煮たり焼いたりして食べることが多いですが、お刺身も絶品です。知床に来た際は、新鮮なお刺身を食べてみてください。

タコを生で味わうならタコしゃぶですね。タコはお刺身の多くは1度茹でているため、生ならではの食感を楽しめるのはタコしゃぶだけなんです。お刺身はお醤油やわさびをつけずにそのまま食べたり、炭火で軽く炙ったりするとタコ本来の味が楽しめますよ。
僕のおすすめはタコの唐揚げです。おつまみにもおかずにもなるので、家族みんなでおいしく召し上がれると思います。

▲知床産のタコで作った唐揚げは旨みが濃厚。あっという間に無くなります。